水道管の中を歩く

流れていく

でも、

絶対的に満足することは出来ないけど、でも、

 

そういう日々です。

自分のやること成すことを自分で理解できないような。勝算もなく、打算もない。精神の疲弊を理由とした横暴の余波を自分自身で受けるようなそういう日々。

だからといって悲観しているわけにもいかないから「でも、」で引き伸ばしている状態。お先真っ暗とまではいかないグレーグラデーションな未来のことは見て見ぬふりをして、今目の前の出来ることを腕を振り回して探して。コツンと当たったもの、例えば映画を見に行くとか、本を読むとか、散歩に行くとか、そういう世間様から見れば赤子の手をひねるようなことを数日をかけてやっと達成する日々。

 

先日ライブを見に行った。

高校生の時分に生まれて初めて行ったライブハウス、まさに同じ場所で行われて目当てのバンドは前座であるそういうライブへ行った。

整理番号は一桁、メンバー全員の顔が見えるくらい前に行ったら爆音で左耳がイカれて参った。目当てのバンドは2番目、これ以上耳をやられる訳にはいかないと後方へ撤退。それでも充分に音がデカくて、PA卓を恨めしく見やったりしてね。

顔を見てやりたいと思った。youtubeで曲を聞いたとき。MVにはメンバーの顔が映っていたけれどそんなのは絵でしかないと思った。この曲を、詩を、歌を歌うおまえの顔を見てやろうと思った、だから今日ここに来たんだよ。そうやって叫んでやりたかった。

知ってるメロディ、知ってる詩、知ってる声に、知ってる顔だ。もうおまえの曲を数えられないくらいに聞いたよ。仮病使って退職した職場に私物を取りに行くときも、新たなバイトの面接受けに行くときも、DIYだなんだってクソでかい板をハンズから持って帰るときも聞いてたよ。その曲たちが今日、最低の音響責任者の元、ギターもベースもドラムもおまえの声も、グシャリと頭上で潰れてひしゃげて私の耳に届いたよ。

私は曲終わりに手を打って、また曲終わりに小さな声で「フー!」と言った。それで全部の曲が終わって片付けをしてるあんたに柵越しに近づいて「超かっこよかったです」と言った。それだけだ。それだけのことを私は一生覚えていると約束する。

言わなきゃよかったと思う。バカみたいな感想を。あんたは「超かっこよかったですか」と、肯定も否定もなく少しニヤけて復唱した。それからサムズアップ。

 

こういうグレーグラデーション。でも、きっとこの先意味もなく思い出す。

そういう日々。